街中のお店でガラスやコットンパールでできたアクセサリーをよく見かけますが、フェイクのアクセサリーを最初に製作したのは、ココシャネルと言われています。
シャネルは明らかに偽物とわかる大ぶりな真珠やガラスを使って、自分の洋服に合う、ネックレスやブローチ、イヤリングをデザインしました。彼女にとって、使われている素材が宝石やゴールドであることよりも、ファッションにあうかどうかということの方がはるかに重要だったのです。
シャネル 1950年頃
そのコスチュームジュエリーは海を越えて、ハリウッド映画で女優たちが身につけたことで、戦争による不況の中、鬱々としていたアメリカの女性をたちまち虜にします。(詳しくはコスチュームジュエリーショートストーリーをご覧ください。)
今、比較的シンプルで小ぶりなアクセサリーが好まれる傾向にありますが、私自身20代の頃に購入した一粒ダイヤのネックレスはすっかり出番を失いました。お肌がキラキラ輝いていた頃は、小さな輝きで十分だったのですが、今つけると輝きが全く足りないと感じます。
シャネル 1960年頃
若い時につけることがほとんどなかったブローチを、年齢を重ねた女性がつける理由が今ならよくわかります。お肌の張りがなくなって、肌の色も少しずつくすんでいく中、それを補ってくれるのが大ぶりでキラキラ輝くコスチュームジュエリー。
宝石で大胆なデザインのブローチは作れないけど、ガラスやフェイクパールならそれが可能だったのです。
そんなシャネル自身がデザインしたコスチュームジュエリーはほとんど出回ることはありません。数が少なく、コレクターも手放さないからです。あったとしても、本物のジュエリーが買えてしまう金額です。
そんなシャネルのジュエリーをニューヨークのお店で、自分のジュエリーの横に並べて販売していたのが、ミリアムハスケルです。インスピレーションを得るためにヨーロッパを頻繁に訪れていた彼女もまたシャネルのジュエリーに魅了された一人だったのです。
シャネルのコスチュームジュエリーのスピリットを受け継いだ、ミリアムハスケルのジュエリーは今でもたくさん残っていて、彼女のジュエリーもまた今を生きる女性たちのファッションを彩っています。