- トリファリの始まり
- トリファリのチーフデザイナー アルフレッドフィリップ
- TRIFANIUMと呼ばれる、トリファリのメッキ技術
- シルバーで作られたジュエリー
- モネグループによる買収
- トリファリのサイン、刻印
トリファリの始まり
1883年、イタリアのナポリ生まれのグスタフトリファリは、祖父の元で修行に励んだ後、叔父が経営するTRIFARI&TRIFARI社で働いた後、1904年ニューヨークに移り、1910年にトリファリ社を設立します。
1930年代からハリウッドやブローウェイ用にデザインしたジュエリーが、ステージや劇場で人々の目に触れることによって人気が高まります。さらに1950年代のアメリカ大統領、ファーストレディーだったマミーアイゼンハワーがトリファリのネックレスとイヤリングを身に着けたことで、さらに人気に拍車をかけました。アルゼンチンのファーストレディーを描いた、映画エビータでは、主演のマドンナがトリファリのジュエルオブインディアシリーズを身に着けています。
JEWEL OF INDIA ブルー、ルビー、エメラルドカラーのストーンがあしらわれたジュエルオブインディアシリーズのブローチ。1920年代にカルティエで製作されたムガール帝国時代のジュエリーを参考に製作したと言われています。
トリファリのチーフデザイナー アルフレッドフィリップ
彼はフランス人で、1930年にトリファリのチーフデザイナーについてから1968年まで40年近くトリファリに在籍しました。これだけ長く、トリファリの黄金期のデザインを担っていたということは、トリファリ=アルフレッドフィリップと言っても過言ではないでしょう。彼はトリファリに入る前、カルティエやヴァンクリーフアーペルのジュエリーをデザインしていたこともあり、そのデザインや技術をトリファリでも多く取り入れます。
ジェリーベリー 1940年~ クリスタルのような透明なストーンやムーンストーンのようなストーンを使って製作したジュエリー
フルーツサラダ 1945年~ どんぐりの実をかたどったようなストーン。こちらもカルティエのジュエリーの経験を活かして製作したと言われています。
TRIFANIUMと呼ばれる、トリファリのメッキ技術
トリファリの素晴らしいメッキ技術にちなんでつけられたトリファニウム。トリファリのシルバーやゴールドメッキはとても丈夫で、簡単にとれることはありません。そして、時間とともに表面がくすんでも、乾いた布でこすると、60年経ても尚、本物のゴールドのように元の輝きを取り戻します。
シルバーで作られたジュエリー
トリファリのジュエリーはほとんどが合金で製作されていましたが、1940年代初期頃から、戦争で合金の使用が規制されたために、代わりの材料となったのがシルバーでした。シルバーは金属としては柔らかいので、武器に使用するのには不向きだったため、規制の対象にならなかったのでしょう。
シルバーの上からゴールドのメッキをかけて作られたジュエリーは、今でも大変人気があり高値で取引されています。TRIFARI STERLINGのサインがあるものは、だいたい1942年~1945年頃に製造されたものです。シルバーで製作された鳥のブローチ↓
モネグループによる買収
1964年にはトリファリの息子に会社は引き継がれますが、1994年にはモネグループに買収されます。その後、当時の金型を使って、人気のあった昔のジュエリーのリプロダクションを製作しています。裏を見て、それが王冠マークの入ったトリファリのサインでなければ、リプロダクションです。
トリファリのサイン、刻印
トリファリのサインは大きくわけると3つ。TRIFARIの後ろに©マークがないもの、PAT.PEND と刻印されているものは、1930年~1954年 ©マークがあるものは1955年~1970年代。王冠マークがなくなった1980年代以降となります。
TRIFARIのマークの後にPAT PENDとサインのあるものは、1954年までのジュエリーに使われています。このサインは、まだジュエリーのデザインに著作権が認められなかった時代、有能なデザイナーよって製作されたジュエリーがコピーされないように特許事務所に申請をしていました。1955年に入るとジュエリーにも著作権が認められ、©が使われるようになります。
一般的にCROWN TRIFARIと呼ばれるものは、Tの上に王冠マークが入っているジュエリーをさします。
ネックレスの留め金部分はスペースがなかったため、王冠マークが省略されています。1980年代に入ってくると、TRIFARIの字体が変わり、王冠マークが消え、1990年代には、©の代わりに™マークが使われるようになります。
1980年代のサインと、王冠マークの入ったサインと2つのサインが入った物がありますが、これは1970年~1980年の過渡期、主にネックレスやブレスレットの留め金の在庫があったため、それを1980年代に入っても使っていたようです。