リュウズが巻きにくい原因はリュウズの消耗にあり
以前、ビンテージウォッチのリュウズがいくら巻いても巻き終わらないので、一度見てほしいという修理のご依頼がありました。巻き終わらない原因は、中のゼンマイという部品が切れていることが大半なのですが、送ってもらった時計を確認してみると、ゼンマイは切れていませんでした。
リュウズを回してみて気づいたのは、リュウズがすごく固い。回し慣れている私でも、わずかしか巻けない。なぜ巻けないのか?拡大した写真を2枚見比べてみてください。
淵の部分にしっかりギザギザがあります。
長年使って消耗してしまったリュウズ
写真で見ると一目瞭然ですよね。上のリュウズはしっかりエッジが立っています。そして下のリュウズは角が丸くなっています。この違いはルーペで見ない限り、肉眼では一見わからないと思います。
特にレディースのビンテージウォッチのリュウズは、男性用のリュウズと違って、とても小さく、ケースにぴったり密着している状態ですので、ここが角張っていないとしっかりリュウズをつかめず、まわそうと思っても、指にひっかからないのですべって回せないのです。回せないので固いと思ってしまいます。しかも、本人は回していると思っても、実際はほんのわずかしか巻けていないので、いつまでたっても巻き終わらないと思ってしまいます。
リュウズを引っ張ると、ケースとリュウズとの間に少し距離ができ、しっかりつかめるようになるため、時刻合わせは問題なくできます。
ここまですり減ると、リュウズを交換をお勧めします。